燕嵐閨中顧話の感想

オススメポイント
その1 ・美は細部に宿る
その2 ・多幸感のあるエロシーンについて

この記事はこんな御仁にオススメ

・細部まで行き届いた美麗な漫画が読みたい
・中華風、宮廷もののTL作品が読んでみたい

「女性向けTL同人誌」を買ってみよう
オススメ博士

「DLsite」や「がるまに」をまだ使ったことがない御仁は、こちらも読んでほしいぞい!

サンプル画像1

前書き

さて、今回は【360】の「燕嵐閨中顧話」です。
作品タイトルの読み方は「えんらんけいちゅうこわ」となります。ざっくり訳すと「春燕(しゅんえん)と泰嵐(たいらん)が寝室で過去を懐かしむ話」あたりの意味でしょうか。
「中華風の宮廷もの」という内容のため、難しいかもなと思って敬遠している方もいるかもしれませんが、身構えるほどの複雑さはありませんので安心して読んでいただければと思います。
それでいて「中華ものの雰囲気」「装飾品の美しさ」は存分に表現されているため、そちらのジャンルに疎い方は今作をきっかけに入門されるのも良いでしょう。
最近では全年齢ジャンルで宮廷もの(薬屋のひとりごと、後宮デイズ、天空の玉座、烏に単は似合わないなど)の人気が高まってきています。実はDLsiteでも全年齢向け作品は購入できるため、アカウントをお持ちの方は宮廷ものの作品を探してみてはいかがでしょうか。配信されていない作品もありますが、小説分野の作品であればこちらでも割りと配信されている印象でした。
・DLsite comipo

私は元々、「チャン・イーモウ監督の中国映画」が好きなので「女性向け中華ものは一体どんな雰囲気なんだろう」と思い、今作を読んでみたいと思いました。
結論から先に言いますと「一切の手抜きが無い」本当に素晴らしい作品でした。まずはそれを全力で伝えたいです。まさに「美は細部に宿る」を地で行く作品。これに関しては「オススメポイント その1」で詳しく触れて行きたいと思います。

そして今作のエロシーンについてなのですが、作品紹介ページには以下のように記載があります。

基本ノーマルプレイで特殊な内容は含みません
性器表現ははっきり描写しています(断面図もソフト表現ですがあります)ので、苦手な方はご注意ください

DLsiteがるまに 作品紹介ページ

これに関して「具体的にどのくらいの描写なのか、どんなエロシーンなのか」を以下の「オススメポイント その2」で触れております。気になる方はご参考にしていただけたらと思います。作品の内容に触れるため、ネタバレしたくない方はご注意を…。

サンプル画像2

レビュー

内容としては「とある部族の娘・春燕は、自らの部族を守るために政略結婚をすることになる。その相手である北斗州の太守の息子は、なぜか子供の頃の春燕の事を知っていた。その男は、春燕が子供の頃によく遊んでいた男の子・泰嵐だった。泰嵐とはもう二度と会うことは出来ないと思っていた春燕は、泰嵐から今回の政略結婚のいきさつを教えてもらうことになって…?!」というもの。

「夫婦になって初めての夜」と「二人の回想」が物語の九割を占めていて、18禁に該当するシーンは21ページほど。全48ページなので、約半分がエロシーンということになります。ですがストーリーもしっかりしていて、一つのオリジナル漫画作品としての完成度が非常に高い印象を受けました。

私の勝手なイメージですが、「がるまに(女性向け)」という場所ではこういった系統の作品が人気なのかとずっと思っていました。少女漫画の延長の「正当後継作品」と言いますか、ハッピーエンドのその先と言いますか。エロシーンを抜けば、少女漫画雑誌に連載出来るのでは?と思わず考えてしまったほど。実際に女性読者の方が読んだ場合どう感じるかは分かりませんが…。
実際に、エロ同人誌枠でありながらBook Liveやコミックシーモアなどの配信サイトでも作品が配信されているようです。もしかすると他の人気作品もこういうパターンがあるのでしょうか…?
ちなみに今作はがるまにの売上累計ランキングで「堂々の2位」にもなったことがある物凄い作品です。他の上位ランク作品は「もっと過激な設定」「ストレートな純愛ものでは無い作品」だったりして、がるまに自体の「受け皿の広さ」を感じて面白いです。

泰嵐も春燕も、お互いが強気を演じてはいるものの「相手を思いやる気持ち」が根底にあるキャラクターで非常に好感が持てました。続編も制作されているので、すぐに続きを読むことも出来ます。

商品情報とリンク

がるまに専売
燕嵐閨中顧話
【360】

通常価格:770円
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オススメポイント(ネタバレあり)

「ネタバレあり」についての説明

その1 ・美は細部に宿る

サンプル画像を見ていただければ十分伝わると思うのですが、作者であるコナさんの画力が非常に高いんです。世の中には(特にエロ作品には)「表紙詐欺」という言葉があります。
表紙だけに気合が入っていて、内容は思ったよりもスカスカで背景も白が多い。中にはキャラの顔があまりしっかり描かれていないものもあります。AVのような映像作品でもこれは存在し、フォトショップで女優さんの顔がより美人にされている場合は非常に多いです。
しかし今作は「表紙のクオリティが最後まで1コマたりとも落ちること無く最後まで描き切られている」のです。

これは単に「手抜きではない」ということだけではなく、「世界観により浸れる」という大きな効果があります。おそらく今作は実際の中国が舞台なのではなく、中華風ファンタジーだと思います(もし明確にこの時代が舞台だ、と分かる方がいらっしゃったらコメント欄等で教えていただけるとありがたいです)。
だからこそ、壁の装飾品や机、灯り、手すりなど「視界に入るもの全て」が丁寧に描かれているというのは「この世界が本当に存在するんだ」という説得力にも繋がります。たとえ架空の世界であっても、似て非なるパラレルワールドであっても「生活や文化」が明確に存在するからこそ「民がいて、部族がいて、為政者がいて、その結果として政略結婚がある」といった風に繋がっていくわけです。

そしてもちろん「装飾品を丁寧に描いてくれる」ということは「主役カップルのベッドシーン」も丁寧に描いてくれるということなんですね。信頼して読み進めることが出来ます。ちなみに、エロシーンに関しては「その2」で詳しく説明します。
過去の回想に使われているページは約10ページほどしか無いのですが、過不足無く必要なことだけをこの10ページで描ききっています。このページ配分がかなり見事で「中華風の世界観と設定」とかなりいい感じでハマっているのが、個人的にはかなり高評価でした。
そして、もしかすると人によっては唐突だと感じるかもしれない大オチ。私としては「次回作への引きと切れ味」という二点が、めちゃくちゃ好みでした。これまで豪華すぎるほど濃密に書き込まれていた背景が、最後のページではなんと真っ白
泰嵐、春燕の二人が「それぞれの理由」によって鳥かごから羽ばたいていく。その未来は白地図であり、これから二人の手によって道が描かれていく。過去との対比も美しく、その「あえて」は私にとって効果的に映りました。

その2 ・多幸感のあるエロシーンについて

性器表現は具体的に説明すると、女性器は「クリトリス、陰唇が描かれ、白い帯で何箇所か隠されている(修正されている)」男性器は「血管がほんの少し描かれているが、陰茎とカリ部の境目を中心に白い帯で何箇所か隠されている(修正されている)」という感じです。
断面図は「指を挿れているシーン」だけで、チ〇ポ挿入時にはありません。他には、フェラシーンが無いため「亀頭や鈴口」が描かれることはありません。

今回わざわざ「エロシーンの描写の濃度」を説明した理由について。私からすると今作は「描写レベルそのものは男性向け寄りかもしれないが、プレイ内容や流れは非常に女性向けなのでは?」と感じたためです。処女である春燕の「破瓜(初体験)の瞬間に出血をしない」という表現に関しては、私は正直どちら向けなのか分かりません。
もしかするとこれは作家本人の趣味による違いの可能性もあるので「どちら向け」とは言えないかもしれません。「破瓜の出血表現」を見ると「痛そう、辛そう」と思ってしまう私のような人間にとってはありがたい配慮でした。

行為の最中の「お互いの気遣い溢れる会話」だったり、前戯をしっかりやってから挿入する流れ、「泰嵐の腕の中に収まるように抱かれる春燕」という体格差表現など、優しい描写が多かったため読後感が非常に心地よかったのも良いポイントでした。
泰嵐が無理に行為を進めないのはもちろん、「春燕は初めてなので不安や辛さで泣いてしまっているが、泰嵐との行為を受け入れようとする」という点についても、丁寧な過去回想があるため「春燕は今、幸せが上回っているんだな」と自然に受け入れることが出来ました。

しかし「ずちゅ、ぱちゅ」などの音、「あ♡はっあぁ♡」「ん…ん」といったあえぎ声などは男性向け的かもしれないため、その度合はサンプル画像2で確認していただければと思います。


最後に

「良い作品なんだろうな」という購入前の漠然とした想像よりも、数段上の素晴らしさだった今作。続編も購入したのですが、続編は続編で別のアプローチで作品が描かれていました。まだ2作しか作品を出されていないようですが、そんな少ない制作数とは思えないクオリティで非常に満足出来る一冊です。もしかすると他のジャンルや名義で活動されているのでしょうか…。

私が思う「がるまに」像にかなり近かったというのもあり、良い部分がすんなり受け入れられたのも良かったですね。興味がある方は是非、有名な中国映画もご覧になることをオススメします。よく練られた脚本、起伏は控えめなもののしっかりと魅せる人間模様、美麗な装飾品など、今作と通ずる要素は多くあります。
私はこういった作風が好みのため、今後もこの様な路線の作品に出会うことが出来たら嬉しいなと思いました。